休暇を使って、ローカル線に乗りに行ってきた。岐阜県の美濃地方を長良川に沿って南北に走る長良川鉄道。朝4時に起きて、福井から中部縦貫自動車道・油坂峠を越えて2時間弱、美濃白鳥(みのしろとり)駅の駐車場にクルマを置いて、窓口で一日乗車券(2,700円)を購入して6時54分発の北濃行き(1両)に乗り込んで北へ向かう。




乗客は僕ひとり。10分ほどで終点の北濃駅に到着。開業当初(昭和初期)はここから山を越えて福井県へ線路を繋げる計画だったのだけれど、結局作られることはなかった。


折り返しの美濃太田行きに乗車。長良川を眺めながら2時間少々のんびり揺られる。郡上市内では小中学生の通学に列車が使われているようで(平日に乗った)、ところどころ車内が賑やかになった。1両だけど、立ち客が出るほど混むことはなかった。長良川鉄道南端の起点、美濃太田駅には9時24分に到着。


美濃太田から折り返しの北濃行きに乗ること30分(朝からずっと同じ車両に乗っている)、10時27分に美濃市(みのし)駅に着いて途中下車。


美濃市駅の近くには、1999年に廃線になった名鉄美濃町線の美濃駅の跡があり、駅舎と車両が保存・展示されているので見学。ゆっくり見たかったのだけれど、程なく、保育士さんに連れられて、お散歩の園児軍団がなだれ込んできたため退散。まあしょうがない。駅舎の中には電車のおもちゃなんかも備え付けてあって、格好の遊び場になっているようだった。




そのまま美濃市街地の「うだつの上がる町並み」も見物。平日の午前中だからか人通りは少ない。開いている店も少ない。


お昼は、美濃地方のソウルフードとされる「とんちゃん」(ホルモン炒め)をいただく。自分で焼くスタイルだった。まず鉄板で肉を焼いて、そのあと上にモヤシを乗せて重しを置いて、ヘラで混ぜて馴染ませたら出来上がり。ピリ辛の味付けでご飯がすすむ。800円でご飯とスープと冷奴がついてコスパも良くて大満足。実は福井県の大野のあたりも「とんちゃん」が名物で、険しい山を挟んでいるにもかかわらず、このあたりの文化は似ているところがある。


腹ごしらえして、北へ戻る。木尾と書いて「こんの」と読む駅があった。よそ者には絶対に読めなさそう。隣駅の母野(はんの)駅も何気に難読である。こんな風に駅名を楽しみながら乗りたいので、時刻表などで事前に読み方を見てしまわないようにしている。予報外れの雨が降り始め、北へ進むにつれて雨足が強まっていく。





12時52分、徹夜盆踊りで有名な郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅に着いて途中下車。年季の入った看板や、床や階段まで木造の跨線橋がいい味を出していた。(長良川鉄道は全体的に、昔ながらの木造駅舎がそのまま残っている駅が多いように見受けられた)。駅併設の売店でビニール傘を買い、次の列車まで1時間半ほど、郡上八幡の市街地を散策する。


街の真ん中を清流・吉田川が流れており、夏になると地元の子供たちが橋の上から川に飛び込んで遊ぶことでも知られる。橋から川を見下ろすと結構な高さがある(4階建ての建物くらい?)。それでも、現地の「警告」看板によれば、慣れた人の用意周到な飛び込みならOKみたいです。


街のあちこちに湧水があり、水路があり、共同の洗い場があり、まさしく「水の街」。宿泊してゆっくり見て回るのもいいかもしれないと思った。


14時18分に郡上八幡を出発。30分強で、今日のスタート地点の美濃白鳥駅へ戻ってきた。20キロほど離れた白鳥のあたりはよく晴れており、雨が降った形跡は微塵もなかった。クルマに乗り換えて油坂峠を越えて帰宅。


地酒と風景印をお土産にしました。