3日間で近鉄電車に全部のる
(2日目 三重・名古屋)

この前の週末に、3日間かけて、日本一巨大な私鉄「近鉄」(近畿日本鉄道)に全線乗りつつ、沿線をちょこちょこ観光してきたときの話を書こうと思います(全4回/2回目)。

朝風呂を浴びて、宗教都市「天理」へ

2日目、土曜日。5時半に起きて、宿の近くの6時オープンの銭湯へ。 ここ入船温泉で朝風呂を浴びるのが西成に泊まる時のルーティンになりつつある。 ちょっと雲は残っているけど、今日はいい天気になりそう。

大阪メトロ堺筋線から中央線に乗る。中央線の電車は長田駅で「近鉄けいはんな線」にそのまま乗り入れて、生駒山をトンネルでくぐり、終点「学研奈良登美ヶ丘駅」へ。

ここはフツーの郊外のニュータウン。休日の早朝ということもあって特に見るところもなさそうなので、そのまま折り返して生駒駅へ。 奈良盆地は今日も空模様がイマイチ。

生駒駅から奈良線で大和西大寺駅へ、ここで橿原線を経由して天理へ行く急行電車に乗り換えて終点まで乗る。 天理は日本有数の宗教都市(天理教の総本山)として知られている。駅前で神名流し(説明が難しいので、興味ある人はネットで調べてください)をやっているのを聴くことができた。 今日は時間がないのですぐ折り返すけれど、いずれじっくり散歩してみたいと思っている街のひとつ。

天理線の沿線でカメラを構える「撮り鉄」が合計30人くらいみられた。なにか珍しい車両が近くにいるのかと思っていたら、 天理駅のホームに、近鉄の最新型特急車両「ひのとり」号(上の写真の赤い車両)が停まっていた。「ひのとり」は、普段は天理駅には来ないはずなのだけれど、 今日は貸切列車として特別に天理まで運転されていたようだった。偶然珍しい光景を見ることができた。 「ひのとり」号には、今日いちばん最後に乗る予定です。

平端駅に戻り、橿原線で北に一駅、筒井駅で途中下車。この駅の商店街に、 近鉄が2004年まで持っていたプロ野球の球団「近鉄バファローズ」の遺産が残っているということで、 見に行ってきた。(神戸の「オリックス・ブルーウェーブ」に大阪の「近鉄バファローズ」が吸収されて、今の「オリックス・バファローズ」になった経緯がある)。 岡本太郎がデザインした水牛モチーフの近鉄球団のロゴマーク(上の写真の「がんばれ」と「バファローズ」の間に挟まっているやつ、合併時に引き継がれなかった)、 個性的で僕はすごく好きなんですけど、20年の時を超えて綺麗な状態で残っていたので、ちょっと感激した。

大和西大寺まで戻り、近鉄奈良駅との間を往復。中学校の修学旅行以来の奈良観光はまたの機会ということで。


三重県へ

9時40分に大和西大寺を出発する特急「伊勢志摩ライナー」で大移動。三重県は志摩半島の賢島駅へ。 橿原線→大和八木から大阪線→伊勢中川から山田線・鳥羽線・志摩線を経由して2時間20分。

途中、伊勢神宮の最寄りも通りましたが、数年前に参拝したので今回はスルーです。

特急の車内では、朝食兼昼食として「うめもり」の「わさび菜寿司」をいただきました。 大和西大寺駅構内の売店で、5個セット1,500円のところタイムセールで1,000円になっていたのを購入。 奈良といえばまずは「柿の葉寿司」だけれど、「わさび菜寿司」も名物のようで、売店や広告を奈良県内のあちこちで見かけた。 美味しいし見栄えも良いしだったので、これはオススメ。

賢島駅には12時ごろ到着。よくわからないけれど、ポケモンのキャラクターとコラボしているようでした。 賢島の辺りは真珠の養殖で有名なのだけれど、僕は買うお金も相手もなにもない身なので…

駅には伊勢志摩サミットの資料室が併設されていたけれど、ちょっと時間が足りなさそうだったので今回は見送る。 滞在時間20分で普通列車で折り返す。この辺りは田舎なので電車は2両。

1時間ほどで、伊勢神宮(内宮)の最寄りの五十鈴川(いすずがわ)駅に到着。名古屋行きの急行電車に乗り換える。

空模様は安定せず、雨が降ったり止んだりしている。この後の旅程にちょっと余裕があるので、 なんとなく津駅で途中下車してみる。回文「近鉄津駅も雲消えつつ天気 ©︎森博嗣(作家)」

津駅で途中下車したのは大正解だった。駅ビルの1階に酒屋さん(店名は「マスダ」)が入っていたのだけれど、 そこのラインナップがちょっとびっくりするくらい素晴らしかったからである。三重の地酒メインに、一升瓶から買い求めやすい小瓶サイズまで豊富に取り揃える、 駅のお土産店離れした、完全に飲食店にも卸せる系のしっかりした「地酒専門店」の雰囲気を持っていた。お土産の地酒(上の写真)を購入して、旅を続ける。 この後は名古屋方面を目指しつつ、途中で枝分かれする2本の支線(鈴鹿線、湯の山線)にも乗る。だいぶ天気はよくなってきたけれど、今度は風が強い。

名古屋行きの急行電車を伊勢若松駅で降りて、ここから分岐する鈴鹿線の終点平田町駅までを往復(片道10分程度)。線路から鈴鹿サーキットは見えない。

続いて近鉄四日市駅へ。ここから分かれる近鉄湯の山線の終点「湯の山温泉駅」までを往復(片道30分程度)。 駅名からして、いかにも終点の駅の改札を出たら湯気がもうもうと立ち上がる温泉街、と思いませんか。実際は温泉街は駅から離れているので、駅前には特に何もない笑。


味仙の「台湾ラーメン」と名阪特急「ひのとり」

17時少し前、近鉄名古屋駅に到着。

名古屋名物「台湾ラーメン」を元祖「味仙」で食べたけれど、想像以上にとんでもなく辛かった。 (中本の蒙古タンメンよりは間違いなく辛い)。

口から火を吹きながら近鉄名古屋駅のホームに戻り、19時ちょうど発の大阪難波行き特急「ひのとり」号に乗車。 この列車は車内設備が異常に充実していて、 コインロッカーやコンビニにあるようなコーヒーマシンまでついている。あと、個人的には座席の座り心地はJRのグリーン車以上に良いと思う。 しかも値段もそんなに高くない(新幹線より少し安いくらい)。 車内の快適さをもってして、所要時間では勝ち目がない新幹線を相手に、名古屋〜大阪間の移動のシェア争いを繰り広げている列車なのである。

ホームの手羽先屋のスタンドで売られてた鶏皮をアテに日本酒を飲む。

〆に、近鉄名古屋駅改札横の藤田屋の「あんまき」を「ひのとりコーヒー」でいただく。 くつろいでいたら21時過ぎ、あっという間に難波に到着。

腹ごなしを兼ねて、なんばパークス(東京でいう六本木ヒルズ系のオシャレ商業ビル)の屋上庭園を軽く散策。 薄暗い庭園の茂みの中そこかしこに、いい雰囲気になってるカップルが何組も潜んでいるのだけれど、 人影(僕)を見るとビビり出すのでなんだか申し訳なかった(デリカシー欠如オタク)。

南海電車で新今宮へ、22時半ごろ宿に到着。


「3日目」につづく

2023.04.30